遺伝子検査の根幹を支える科学的根拠を探し回る旅路、
という記事が週刊ダイヤモンドに掲載されていました。
とても興味深かったので、参照してまとめてみました。
DeNAが遺伝子検査の分野に参入
ディ・エヌ・エー(DeNA)は、オンラインゲームを主軸とした
インターネット大手企業。そのDeNAが、MYCODEという
遺伝子検査に参入したのは2014年8月。
マイコードとは、プラスチック製の検査容器に唾液を入れて送ると、
遺伝子情報を読み取ってがんや生沽習慣病へのかかりやすさや、
肥満や肌質などの体質を計280項目を分析してくれるサービス。
数年前までは、相当な費用と時間がかかった遺伝子検査が、
今や約3万円払って2週間くらいで結果を知ることができる。
この遺伝子検査を発案したのは、DeNA創業者なのだそう。
自身の夫ががんになり闘病の日々が続き、その経験から
へルスケア分野のサービスを提供したいという思いに。
その頃、消費者向けの遺伝子検査サービスに取り組んでいた
アメリカの23andMEをべンチマークにして、日本人向けの
遺伝子検査サービスを作ろうしたのが始まり。
そこに元ソニーの海外営業マンとして活躍していた古橋宏紀と
いう人物がこのプロジェクトに関わり本格始動したわけです。
科学的根拠を示すことが重要
古橋氏がまずやったのは、先を行く米国の遺伝子検査サービスを
実際に利用したこと。半信半疑で自分の唾液を送ってみたら、
痛風にかかるリスクが高いという結果が出で驚いたのだそう。
実は健康診断では唯一、尿酸値だけが毎年高いという現実と
見事に一致。当たりぶりにには興奮したと言っています。
ただ、検査結果とともにその科学的根拠を示せるか?
それが最も重要だと感じ、彼の挑戦が始まりました。
例えば、中国に遺伝子検査で人間の才能を分析できるとうたった
大手国有企業があり、日本人ユーザーも多いサービス。
記憶力や理解力から、運動神経、音楽のセンスまで測定できる
といい、子どもを持つ親からは大きな注目を集めている。
ただ、その一方で検査手法や根拠には不透明な部分が多いとも
指摘されているのも事実。
国内でもサプリメントを主力商品とする企業(多分ファンケル)
は、太りやすさや自分に合うダイエット方法を知るためのツール
として遺伝子検査を提供するケースもある中で、実際は現在は
参照されない古い研究に基づいている可能性もあるとの指摘も
あるのだそう。
1500本の学術論文を選別
こういった例を知ってしまうと「遺伝子検査サービスは最先端の
テクノロジーかもしれないけど信頼性はどうなのか?」と疑問も。
それをどうすれば解消できるのか。DeNAが下した判断は二つ。
ラボラトリー(研究所)の立ち上げについては、どの検査技術を
採用するかが鍵。綿棒で口腔内をこする方式では、十分な容量の
遺伝子が取り切れないという弱点を鑑みて、約10倍の費用をかけ
プラスチック容器に唾液を入れる方式を採用。
また万が一にも、他人の遺伝子と混ざることは許されないので、
大量の遺伝子をできるだけ自動化したプロセスで検査しながらも、
どうすれば安全に取り扱えるのかに、頭を悩ませ続けたという。
一方、論文の選別について、ヒトゲノム全体をほぼカバーする
「ゲノムワイド関連解析」という手法を使った論文を約15OO本
を読み込んだ。
生命科学の博士号を持つ研究者など、外部から社員採用した
スべシャリストら4〜5人のチームが、半年間かけて論文を精読。
どのような人種や遺伝子を対象にした研究なのか?研究で十分な
サンプル数が確保されているのか?再現実験がなされているのか?
などをチェックした上で、サービスに利用できると判断した600本
の論文のみ(部分採用を含む)を抽出。
さらには最新の研究結果をサーピスに反映させるために、年1回程度
の頻度でアップデートする仕組みを採用している。そうした結果、
サービスの透明性がぐっと高まったのだそう。
ユーザーが複数の遺伝子検査サービスを受けると、正反対の結果が
出ることもあるが、どの学術論文を根拠にしたか、検査項目ごとに
全て参照先を示しているのはMYCODEだけ、と言い切っている。
ビジネスとしての課題
検査キットを販売して約1年半が経過したが、想定よりも
売り上げが低いことを認めています。遺伝子検査という新しい
サービスを受け入れる人々の関心はまだ高くはない。
人々に検査に興味を持ってもらうには、より多くの人が遺伝子検査を
正しく理解することも必要。今は未成熟な市場ではありますが、
今後の展開が非常に楽しみな分野であることは間違いなさそうです。
管理人の感想
遺伝子検査サービスに関する記事を読んだのは初めてでした。
誕生秘話や、どんなところに重きを置いて開発されたものなのか
を知ることができてよかったです。
ちなみにDeNAのマイコードは、遺伝子情報の中でも病気など
個人差に深く関わるスニップと呼ばれる部分をチェックしています。
あくまでも遺伝的な傾向を知るもので、現在の体調とは無関係。
これは正しく理解してから受けみたいと思いました。